Gressive Off style Magazine Vol.30 LET'S GO! YAMAGATA カシオウォッチの最高峰が生まれる プレミアム プロダクション ライン訪問記

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技能と経験で最高峰モデルを組み上げる

 完成したアナログムーブメントを、実際に時計に組み込んでいくのが、「Premium Production Line(PPL)」の中枢部である。
 明らかに他の工程とは雰囲気が異なるこの場所で、オシアナスのマンタ、プロトレックのマナスル、G-SHOCKのMR-G、そして最新のG-SHOCK MT-Gが組み立てられる。
 PPLのこだわりは徹底的な能力主義にある。山形カシオでは技術者のことを“メダリスト”と呼んでいるのだが、上位10%に当たるプラチナとゴールドのメダリストのみがPPLでの作業を許されるのだ。それほどプレミアムウォッチを作るのは難しい。

 なにせMR-Gに至っては生産本数が少ないため、年に2~3回しか生産ラインに回らないという。熟練のメダリストたちも、MR-Gを作る時は特殊な緊張感が走るらしい。
 しかし彼ら(女性も多いが)の優れた技能と豊富な経験が、プレミアムウォッチ戦略を支えているのだ。
 PPLの作業ラインでは、ソーラーセルやダイヤル、針などが順を追って取り付けられていく。非常に繊細な作業を求められるが、大型のモニタとモデルに応じて専用設計された工具があるので、どんどん時計が組み上がっていく。我々の目には、あっという間の作業に見えたが、それでも1日フル稼動させても300~350本程度しか作ることができないというから、人気モデルが大量に受注を受けたとしても簡単に増産はできないだろう。

 最終工程は半導体・TFT液晶工場並みに塵や埃を除去したクリーン度クラス100「スーパークリーンエリア」でケーシングを行い、それで作業はいったん終了となる。あとは、さらに別の部屋に送られて防水検査など入念な品質チェックとブレスレットの取り付けが行われ、ようやく最高峰ウォッチは完成する。
 カシオにはハイテクというイメージがあるが、こと時計作りに関しては、かなり人の手の力を必要としていることが意外だった。しかしそのこだわりが、品質の高い時計を生むためには不可欠なのだ。
 高級機械式時計とは異なるアプローチだが、最終的に人間の力がモノをいうのは一緒である。そのひと手間が、カシオの時計にエモーショナルな魅力を吹き込んでいるのだろう。今後のカシオのモノつくりに注目である。

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