時計の心臓部であるムーブメントに対しては、3つの考え方がある。
ひとつは「汎用ムーブメント」を購入し、そのまま時計に搭載すること。汎用品ゆえにムーブメントの魅力は語りにくいが、大量生産されるため、ムーブメント自体のコストが下がるというメリットがある。
「半完成品(エボーシュ)ムーブメント」を購入し、自社でカスタマイズを行う方法もある。コストをそれほど掛けずに、さらに個性を追加できるというメリットがあるが、世界最大のムーブメントメーカーETA社が、エボーシュの供給をストップしたため、今後の先行きが不透明という点がデメリット。
そして「自社ムーブメント」を搭載する方法もある。自社専用設計なので、歯車の一枚、ビスの一本にまでこだわることができるし、デザインやサイズを存分に生かすこともできる。オリジナリティをとことん追求できるというメリットはあるが、その反面、研究開発にコストがかさむため時計の価格が上昇するというデメリットもある。
カジュアルウォッチブランドの場合は、まずは価格帯に気を使わなくてはいけない。ましてやコストの高い機械式ムーブメントの場合は、狙った価格帯に収めるためにも汎用ムーブメントを使うことが定石だ。
ところがフォッシル グループでは、自社ムーブメントを使用するというのだから驚くしかない。